物価高騰が続く中、日常の食卓にどのような変化が起きているか。全国約6000店舗のPOSデータと約5万人の購買パネルを持つインテージによると「『簡便化・節約・健康』という3つのキーワードで、日本の食卓の変化を解き明かせる」という――。

※本稿は、株式会社インテージ『なぜ日本人は、それを選ぶのか? データで読み解く時間とお金の使い方』(朝日新書)の一部を再編集したものです。

おにぎりのある食卓
写真=iStock.com/Jacob Wackerhausen
※写真はイメージです

「レトルト」逆転のカレー市場

日本の食卓が変化しています。以前は、食卓は家族団らんで、食事だけではなくコミュニケーションを取る場でもありました。

現在は、1人で食事をする「個食」が増えてきています。晩婚化による世帯人数の減少、単身世帯の増加に加えて、共働き世帯の増加など社会構造が大きく変化してきているためです。

個食とともに増えてきたのが、食事を簡単に済ませたいという簡便化志向。「自分1人のために時間をかけたくない」「仕事や趣味に時間を使いたい」などの思いがあるのでしょう。

簡便化志向の高まりを示す典型的な変化として、レトルトカレーの売上高がルーを逆転したことが挙げられます。

全国約6000店舗の販売動向を追っている「インテージ SRI+」によると、レトルトの市場規模は2017年にルーを逆転してからも堅調に推移し、21年以降はルーよりも200億円以上大きくなりました。ルーの市場規模は23年から増加に転じているものの、値上がりの影響が大きく、数量は伸び悩みが続いています。

ルーカレーは、調理に肉や野菜といった具材を用意する必要があり、片付けも鍋を洗うなどひと手間かかります。それに対してレトルトカレーは、1人前に小分けにパックされていて、温めるだけで食べることができ、洗い物も最小限に留められることから個食に適した食品として需要が高まりました。

【図表1】カレー:ルー・レトルト別 市場規模トレンド
出典=『なぜ日本人は、それを選ぶのか?』(朝日新書)

「簡便化」「節約」「健康」がトレンド

「簡便化」に加えて、食卓トレンドのキーワードとして「節約」「健康」が挙げられます。

物価高が家計を直撃しており、主食のコメが高騰するなど食品の値上がりは深刻です。少しでも支出を抑えられるよう、食費を見直そうと節約志向が強まっているようです。

また、高齢化が進み、健康に関心の高いシニア層が増えているだけではなく、若年層でも自身の健康を資産として食事や運動などの習慣を見直す動きもあり、健康を大切にする意識が高まっています。

好調なレトルトカレーでも、低価格帯でコスパのよい商品ではなく、具材がたっぷりと入っていて健康によいと訴求する商品も人気です。