トルコへ赴任しているときに読んで感銘を受けた。
冷戦後、フランシス・フクヤマ氏のように「歴史の終わり」を説く人がいる一方、著者は文明圏の間に深い“断層線”が存在することを指摘し、結果的に「9.11」などの背景を言い当てた。
世界情勢を歴史的に捉えていることや、私の故郷イラン、赴任経験のあるトルコ、韓国、そしてもちろん日本について詳述していることにも興味を引かれる。世界を見るときのヒントをもたらしてくれる名著である。
もっとも、全面的に賛同できるわけではない。とりわけ「文明間の世界戦争は起こりうる」とする結論部分だ。多様な文明圏でのビジネス経験がある私としては、「近未来にそんなことが起きるとは断定できない」と反論したい。