この国のインターネット産業の中心には、いつの時代もサイバーエージェントの名前がとどろいている。最強のIT企業を牽引する社長・藤田晋は、筋金入りの麻雀打ちで、プロ顔負けの腕前を持つことでも有名だ。彼がそこまで打ち込むのはなぜなのか。(第2回/全3回)

相手の嫌がることを徹底的に想像せよ

ビジネスにおける「戦略」の正解とは何でしょうか?「それをやられると競合が嫌がる」、これが1つの答えとしてあると思います。

サイバーエージェント代表取締役社長 藤田 晋氏
サイバーエージェント代表取締役社長 藤田 晋氏

自分たちが考えた戦略の内容を、記者発表などを通じて競争相手が知ったとき、相手が何とも思わなければ、それは効果的な戦略とは言えません。「まずいな……」と相手が思わず顔を曇らせてしまうような内容だった場合、それは効果的な戦略の一手を打っていると言えるでしょう。

麻雀でも、「それをやられると相手が嫌がる」という一手は大体正しいです。

例えば、持ち点を大きく減らしている人が、南場で最後の親番を迎え、巻き返すにはここが最後の勝負と張り切っているとします。そこで、出鼻をくじくように役牌を鳴いて軽く1000点で親を流します。それをやられたら親番の人はものすごく嫌ですよね。これで下の順位を自分以外に押し付けることができるわけですから、わずか1000点でも正しく戦略的な上がりと言うことができます。