ウェブサイトやアプリで『5時間以上』を費やしている

「平均的な人は1日にスマートフォンを『85回以上』チェックし、ウェブサイトやアプリで『5時間以上』を費やしている」(158ページ)。「だらだら見続けてはならない」と頭ではわかっていても止められない。それは「どれほど馬鹿げた行動か」の認識が甘いからだと著者は喝破する。

我々は大量のサブリミナルな「誘惑」にさらされ、刺激の「奴隷」になっている。著者は外部の環境を物理的に変える方策を具体的に指示するが、まず「これはダメ」という的確な認識が必要なのだ。

現代人が陥る状況を見事にあぶり出す著者は、「予測・制御」に関してもさまざまな助言を与える。時間管理について「精神的に本当に集中できるのは、1日のうちに4~5時間。効果的に働くなら、1時間半~2時間の集中時間と、その後はどこか違う環境で20~30分間の回復時間を過ごす」とアドバイスする(167ページ)。

本書が優れているのは「認識」を最重要視する点だ。評者の地球科学でも同じで、最初の認識を誤れば後の仕事は水泡に帰する。よって、本書から読み取ってほしいのは、「自分の認識がいかに甘かったか」なのである。しかも、不適切な行動を「意志の力」で変えようとしても無駄で、外部の環境を変えることでしか有効な手立てはないのだ。

さらに「予測・制御」は読者に合った方法だけ採用すればよいと語る。助言のすべてに従う必要はなく、自分で「カスタマイズ」することが重要なのだ。意志に頼らず外部の環境を変える斬新な方法で、未来へ向けて無理なく自分を変えていただきたい。

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