一方、女王は国民の支持を得るための努力も続けている。

女王がバッキンガム宮殿に客人を招いた際の写真が話題になったことがある。室内の暖炉には暖かそうに燃える火、ではなく電気ストーブが置かれていた。しかも数千円の極めて庶民的な電気ストーブである。光熱費を無駄遣いしない女王、として好意的に報じられた。

女王の倹約ぶりはイギリス国民にはおなじみで、古新聞は細かく切り、馬の寝床にする。トイレのタンクには節水器具を設置し、バルモラル城で壁を補修する際にはヴィクトリア女王が購入した壁紙がいまだに使われている。

世論を敏感に感じ取り、身を削って国民の支持を得ている

王室への税金投入に対する国民の目線は、年々厳しさを増している。こうした世論の変化を敏感に感じ取り、対応していくことは王室を守っていくうえで最も重要なことだ。国民の理解を得るためには、浮世離れした贅沢はどんどん見直さないといけない。女王は倹約ぶりをアピールするだけでなく、王室ヨットのブリタニア号を手放すなど、率先して所有する資産の見直しを進めている。

亀甲博行『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』(文春新書)
亀甲博行『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』(文春新書)

女王といえば王冠など目も覚めるような無数の宝石を所有しているイメージがあるが、実はこうした宝石類も女王個人の手を離れている。ロイヤル・コレクション・トラストという独立した団体が管理をするようになり、女王の資産にはカウントされなくなった。

2018年5月の「サンデー・タイムズ」紙によると、女王の資産は3億7000万ポンド(約555億円)。宝石類などのロイヤル・コレクションが資産に含まれなくなったことにより、30年前の52億ポンド(約7800億円)から実に93%も減少した。3億7000万ポンドという現在の資産額は、イギリスの資産家ランキングでいうと356位(2018年5月現在)に過ぎない。

ダイアナ元妃の離婚・事故死で大きく損なわれた国民の支持と理解を、エリザベス女王は自らの身を削り続けることで取り戻してきたのだ。

【関連記事】
ローマ教皇が「ゾンビの国・日本」に送った言葉
ファーストクラスの女性は何が一番違うか
新型コロナウイルスで「やってはいけない」5つのNG行動
1億貯めた女性が実践している小さな習慣5つ
なぜ秋篠宮紀子さまは国民に嫌われるのか