イギリス王室のヘンリー王子とメーガン妃は公務から身を引き、アメリカで新生活を始めた。なぜ、ヘンリー王子は王室を離脱してまでメーガン妃を選んだのか。日本テレビ放送網・前ロンドン支局長の亀甲博行氏は「つらい幼少期を過ごし、差別問題に取り組むメーガン妃に、母であるダイアナ元妃の面影を見たのではないか」と指摘する——。

※本稿は、亀甲博行『ヘンリー王子とメーガン妃 英国王室 家族の真実』(文春新書)の一部を再編集したものです。

2020年3月9日、イギリス王室のヘンリー王子とメーガン妃はウェストミンスター寺院で行われた「コモンウェルス・デー」の礼拝に出席し、最後の公務を行った
写真=AFP/時事通信フォト
2020年3月9日、イギリス王室のヘンリー王子とメーガン妃は、ウェストミンスター寺院で行われた「コモンウェルス・デー」の礼拝に出席し、最後の公務を行った

出会いは歓楽街の会員制レストランだった

ロンドンのソーホーはレストランやパブが並ぶにぎやかなエリアだ。スリや置き引きが相次ぐ場所でもあり、このあたりのパブで飲むときには、足元の荷物が無くならないか、気になってやや落ち着かない。

このソーホーに一軒のタウン・ハウス(かつての貴族の邸宅)がある。白い外壁が印象的なジョージアン様式のこの建物は、18世紀に建てられたものだ。ディーン・ストリート・タウンハウスと名付けられたこの建物には現在、イギリスの会員制クラブ「SOHOハウス」が経営する39室のホテルとレストラン・バーが入っている。私が取材に訪れたこの日は、店の外のテラス席で紳士淑女がシャンパンを楽しんでいるところだった。

ヘンリー王子とメーガン妃は2016年7月上旬、このレストランで知人の紹介により初めて出会った。建物は素敵だが、周辺は歓楽街特有のゴミゴミとした感じがあり、とてもロイヤルファミリーが訪れるエリアとは思えない。

ヘンリー王子は世界の王室の中でも1、2を争うプレイボーイだった。またメーガン妃も離婚後に様々な男性との浮名を流していた。それにもかかわらず、出会ってわずか16カ月で2人は婚約した。ウィリアム王子とキャサリン妃が結婚するまでに10年かけたのに比べると、いかに“スピード婚”だったかがわかる。

メーガン妃がヘンリー王子を選んだ理由はわかるような気がするが(なんと言っても、リアル王子、である)、なぜヘンリー王子は「年上、バツイチ、黒人系」であるメーガン妃を選び、年貢を納めたのか。