さらに同じ月、キャサリン妃の妹であるピッパ・ミドルトンの結婚披露宴に、ヘンリー王子とメーガン妃が揃って出席した。ヘンリー王子との交際説も流れたピッパの結婚式はメディアの関心も高く、ここにも多くのメディア関係者がいた。そこにメーガン妃を連れてきたことには、「結婚も考えている」という強いメッセージを感じる。
そして4カ月後の2017年9月、メーガン妃がアメリカの雑誌「ヴァニティフェア」のインタビューに応じ、2人の関係について語った。私の手元にその雑誌がある。表紙を飾っているのはメーガン妃だ。タイトルには「彼女はハリー(ヘンリー王子の愛称)に夢中!」とある。
「私たちは付き合っています。愛し合っているの。いつかみんなの前で説明しなければいけないときが来ることはわかっています。でも、これは私たちだけの時間であることをわかってほしい。私たちは幸せです」
決定的なシーンだったインビクタス・ゲーム
ヘンリー王子のことを「私のボーイフレンド」と呼び、オノロケ全開のメーガン妃だが、ロイヤルファミリーの交際相手が自ら取材に応じ、赤裸々に恋愛について語るというのは前代未聞だ。
王室専門家からは「せっかく王子がマスコミに異例の声明を出して取材を沈静化させたのに、これでは逆効果だ。彼女の選択は間違っている」との批判も相次いだ。
しかし、私はさすがにメーガン妃もそこまで考えなしで取材を受けたのではないと思う。2人の関係をオープンにするための広報戦略の一環だろう。その証拠にわずか2週間後、決定的なシーンが撮影されることになる。
同年9月23日から30日にかけて、カナダのトロントで国際スポーツイベント、インビクタス・ゲームが開催された。この場にヘンリー王子はメーガン妃と手をつないで登場し、世界中にその親密な姿を初めて公開した。
インビクタス・ゲームは、傷病兵らのための「オリンピック」である。インビクタスとはラテン語で、「征服されない」を意味する。戦場で体に障害を負っていたり、心に傷を負っていたりしていても、屈せずに戦う傷病兵たちを後押しすることを狙ったものだ。
このイベントを立ち上げたのは、実はヘンリー王子である。
“王室の問題児”をみなが見直すきっかけに
ヘンリー王子はイギリス陸軍の兵士だった。ロイヤルファミリーだからお飾りのキャリアだと思うかもしれないが、そんなことはない。攻撃ヘリコプターAH-64アパッチの副操縦士兼射撃手を務め、アフガニスタンにも従軍した経歴を持つバリバリの兵士である。
20週間に及んだアフガニスタンでの任務を通じ、ヘンリー王子は、最前線の兵士の生活や、精神的・肉体的な傷痕について理解することができたという。この体験を通じてヘンリー王子は、精神的、あるいは肉体的に傷を負った元軍人に支援を提供する慈善団体に特に関心を持つようになった。