わが子が難関大学に合格した! うれしさ、めでたさ、誇らしさに沸き立つ親心に訴えかけるのが大学のオリジナルグッズだ。定番の文具類に加え最近好評なのがクッキーである。

東大、一橋大、青山学院大などの校章が印刷されたクッキー。周囲に配りたくなる巧みな仕掛けだ。

東大、一橋大、青山学院大などの校章が印刷されたクッキー。周囲に配りたくなる巧みな仕掛けだ。

首都圏の主要55大学の生協や購買会では、箱詰めのクッキーが販売されている。東大であれば銀杏マーク、一橋大学であればマーキュリーマークといった具合に、クッキーや包装紙に各大学の校章がプリントされている。価格は1000円前後。親戚縁者や近隣に配ろうと、大量に購入する保護者も少なくない。手頃な値段で贈りやすく日持ちもするクッキーは、大学入学の記念品としてはうってつけなのである。

このクッキーを製造しているのは、創業87年の歴史を持つ菓子メーカーのコロンバン。焼き菓子に繊細な印刷が施せる技術を活用し、大学オリジナルのクッキーをつくりあげた。社長の小澤俊文氏は30年のキャリアを持つ元銀行マン。新規マーケット開拓を手掛けていた銀行員時代の経験を生かし、大学ブランドの菓子に着目したという。

「既存のチャンネルにとどまるだけでは効率が悪く、リスク分散もできません。菓子業界には未開拓の新規チャンネルがたくさんあります。航空自衛隊のアクロバットチーム『ブルーインパルス』を印刷したクッキーも自衛隊マニアに好評です。今後は民間企業向けの焼き菓子など、愛校心や愛社精神をどんどん形にしていきたいですね」

また、同社が東京土産用に昨年発売した「原宿焼きショコラ」も口コミで話題を呼んだ。ネーミングの妙に加え、包装パックに「原宿」と印字されたわかりやすさ、味のよさが受けて売り上げはすでに2.5億円に達した。東京土産菓子市場で圧倒的な強さを誇ってきた「東京ばな奈」(グレープストーン)を猛追している。着眼点で商機を得た老舗の快進撃から目が離せない。

(撮影=依田佳子)