昨年11月、東京・渋谷区に、プラネタリウムが9年ぶりに復活した。3月には名古屋で世界最大の施設がオープンし、来春は東京スカイツリーにも開業予定と、プラネタリウムが続々と建設されている。先述の「コスモプラネタリウム渋谷」では小惑星探査機はやぶさの7年に及ぶ宇宙の旅をヒューマンドキュメンタリー風に描いたプログラムが口コミで人気を集め、週末は1日5回の観覧券が連日完売したというからすごい。
背景には宇宙への関心の高まりがある。2009年のトカラ皆既日食、昨年のはやぶさの帰還のほか、日本人宇宙飛行士の活躍も話題になった。
技術力も進歩した。360度の全天周型ドームに高解像度の映像をひずみなく投影する“デジタル式”と、薄い板に開けた小さな穴に光を通して、本物の星の微妙な色やまたたきまで再現する“光学式”の最新技術を組み合わせることで、リアルな星空とダイナミックな映像が実現。その結果、単なる星空鑑賞の枠を超えた、魅力的なプログラムが楽しめるようになったのだ。
たとえば日本のプラネタリウム施設の約半数を手がけるコニカミノルタプラネタリウム直営の「満天」(東京・池袋)。人気ミュージシャンがナビゲートする音楽と星空を融合したエンターテインメント性の高いものや、大自然の映像にアロマの香りをプラスしてヒーリング効果を狙ったものなど多彩なプログラムを取り揃え、従来の主流層である子供とその親に加えて、20~30代のカップルや中高年の女性といった新しい層を取り込んだ。ノー残業デーの企業が多い水曜日にはスーツ姿の男性客も見られ、2010年の来館者数は32万人にも上ったという。
雄大な宇宙空間への入館料はわずか数百円から1000円前後。プラネタリウムは格好のデフレレジャーなのかも。