1990年代の前半に市場に登場した電動アシスト自転車が進化している。バッテリーの改良で1回の充電による走行距離もおおむね50kmを超え、車体の軽量化も進んだ。加えて、昨年末に道路交通法施行規則が改正され、モーターで人力をサポートする補助率が、従来に比べ2倍に引き上げられた。
これをビジネスチャンスと捉えた大手メーカー各社は、今年に入ってから新基準対応モデルを相次いで発売している。この分野でトップシェアを誇るパナソニックサイクルテックの三宅徹氏は「スムーズな発進で低速時の安全性が増し、より快適な走行が実現できた。当社でも今年1月と2月に、従来の売れ筋をリニューアルした8万~13万円台の新機種7タイプを投入したが、販売店の評判は上々だ」と自信を覗かせる。
電動アシスト自転車は、高齢者や小さな子供を持つ女性を主な購買層としてきた。だが三宅氏は「新基準対応の自転車は、いままでよりも長い距離を、疲れないで走ることを可能にした。これからは、通学や通勤といった新しい用途を積極的に提案していきたい」と話す。
おおよそ1000万台といわれる自転車市場にあって、電動アシスト自転車の国内出荷数量は、ここしばらく20万台後半で推移してきた。昨年は夏のガソリン高騰も追い風に、初めて30万台に乗せた模様。年末こそ景気悪化で足踏みをしたが、今回の道交法改正が追い風になれば、今年は32万台の出荷も見込まれるだろう。
(ライヴ・アート=図版作成)