資格検定の市場がここ数年、ゆるやかながら伸びている。矢野経済研究所が2008年11月に発表した調査によると、08年度の市場規模は、前年度比2.4%増の425億円と予測されている。とりわけ、英語力判定の「TOEIC」や「漢検」の人気が市場の拡大に貢献してきた。
この調査に携わった同研究所上級研究員の松島勝人氏は、「TOEICや漢検は国家資格とは違い、誰もが比較的手軽に受けられる。また、自分の知識レベルが確認できるうえに、就職や仕事にも役立つため、人気は上昇している」と話す。
実際、市場の内訳を見ると、語学系資格と教養系資格が合計325億円で、全体の76%余りを占めていることが、調査でも明らかになっている。ただ、漢検については、主催する財団法人の理事長らの“儲けすぎ”が社会問題になっており、今後、受検離れが加速するかもしれない。
いまブームになっているのが、200を超える自治体や各地の商工会議所が実施する「ご当地検定」である。日本商工会議所流通・地域振興部の皆藤寛氏は「目的は地域の魅力づくり。観光地などのホスピタリティ向上と地域外からの誘客だ」という。
たとえば、札幌商工会議所が認定する「北海道フードマイスター」には、すでに約4900人が受検している。有資格者は、物産展や航空会社、生協の現場で知識を活用しているという。このように検定とビジネスが結びつけば、関心を持つ層はさらなる広がりを見せそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)