電気自動車や産業機械向けの電源として、リチウムイオンの大型二次電池が注目されている。二次というのは、充電して繰り返し使える電池で、これまでは携帯電話やパソコンに多く利用されてきた。リチウムイオン電池は、いま大型二次電池の主流になっているニッケル水素電池と比べて蓄えられる電気の量が大きく、一度の充電で長く使えるのが特徴だ。

急成長する大型二次リチウムイオン電池

急成長する大型二次リチウムイオン電池

それがここにきて、性能向上やコスト削減が進み、新たな用途での実用化が期待されている。2007年の国内市場規模は、およそ3000億円。これはモバイル用も含んだ数字だが、民間調査会社の富士経済の奥畑賢司氏は「大型に限っても、08年度見込みで145億円、それが14年度には6.5倍の946億円になるだろう」と話す。

その需要の過半数を占めるのが、ハイブリッド自動車と四輪PEV(Pure Electric Vehicle)と呼ばれる電気自動車向けだ。いまでこそ全体の1%にも満たないシェアではあるものの、14年度予測では、前者が273億円、後者も250億円に伸びる。これに加えて、建設機械や電動工具のニーズもある。奥畑氏は「技術革新で、リチウムイオン電池がさらに進化すれば、将来的には大型二次電池のメーンになることは間違いない」と見る。

しかし、まったくハードルがないわけではない。とりわけPEVについては、1回の充電での走行距離を現在の約100kmからガソリン車並みの数kmに延ばす必要もあり、普及に伴い家庭外での充電インフラも不可欠だ。今後の展開が注目される。

(ライヴ・アート=図版作成)