認知症になるリスクを低くする方法はあるのか。「脳トレ」で知られる東北大学教授の川島隆太さんは「複数の研究調査から、脳にとっていい影響を与える食品が分かってきた。とくに、タマネギに含まれるケルセチンは認知機能の維持に役立つだけでなく、鬱々とした気分を前向きにする可能性が指摘されている」という――。
※本稿は、川島隆太『脳を鍛える! 人生は65歳からが面白い』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
「身体に良い」だけではないチーズ
研究では脳にとっていい影響があるとされた食品がいくつかあります。
食品は薬ではないので、「これを食べていればいい」「これを食べれば認知障害が治る」というものではありませんが、食事で脳へプラスになる働きかけができるのならうれしいですね。こうした食品を取り入れてみるのもいいでしょう。
①チーズ
骨や歯をつくるカルシウムやリン、鉄などが豊富に含まれているチーズ。骨折の原因になる骨粗しょう症を予防するためにも、意識して摂取している方もいらっしゃるかと思います。身体にいいということは多くの人が知っているかもしれませんが、じつは認知症を予防する効果もあるのです。
定期的にチーズを食べる“すごい効果”
桜美林大学、東京都健康長寿医療センター、明治の共同研究チームが、チーズと認知機能の関連を調べるために、65歳以上の方を対象に調査を行いました(※)。すると、チーズを1週間に1度以上食べている人は、食べていない人よりも認知機能テストのスコアが高い傾向にあることがわかりました。
また、チーズを食べている人は歩行速度が早く、ふくらはぎの周囲径が大きいだけでなく、歯の残存本数が多く、血中の善玉コレステロール値が高いといったことも明らかになったのです。
このように、定期的にチーズを食べることで、認知機能の低下が起こりにくくなる上に、身体の状態も良好に維持できる可能性がありますが、チーズのなかでも特におすすめしたいのがカマンベールチーズです。