タマネギを食べると脳に良いことだらけ
③タマネギ
最近、単語が思い出せずに「あれ」「それ」といった言葉しか出てこない……なんてことはありませんか? そんな悩みに効果的な食品がタマネギです。野菜の中でもタマネギに多く含まれるポリフェノールの一種「ケルセチン」が、認知機能の維持に役立つという研究(※)があります。
※Nishiharaら Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition 2021
この「ケルセチン」を多くとっている人は心筋梗塞のリスクが少なかったり、LDL(悪玉)コレステロールの数値が低かったりするという調査結果もあり、タマネギにはいわゆる“血液サラサラ”効果があると考えられていますが、じつは脳にとってもよい効果をもたらしてくれるのです。
岐阜大学の研究グループが、記憶力や計算力、言語能力などの検査を行ったところ、ケルセチンを摂取した人はそうでない人に比べ、言語能力などの検査の点数が大きく増加することがわかりました。
また、気分(抑うつ状態)についても、ケルセチンを摂取した人のほうは大きく低下しました。ケルセチンは認知機能の低下を防ぐだけでなく、鬱々とした気分を前向きにする可能性があるのです。
さらに、同研究グループは、「ケルセチン」が、文章表現を司る機能を維持することも明らかにしています。これは、ケルセチンが想起障害に対して役に立つ可能性を示しています。
「脳のサビ」をとってくれる野菜・果物
④緑黄色野菜・果物
ホウレンソウにブロッコリー、オレンジやパパイヤ、柿。緑やオレンジ色が鮮やかですが、こうした緑黄色野菜や果物に含まれる抗酸化物質が、認知症の予防に役立っているという研究結果(※)があります。
緑黄色野菜や果物には「ルテイン」「ゼアキサンチン」「ベータクリプトサンチン」などの成分(抗酸化物質)が含まれていますが、米国のある調査では、血中の抗酸化物質量のレベルが高い人は、低い人に比べて認知症を発症する可能性が低いことがわかりました。
抗酸化物質は俗に「身体のサビを取ってくれる」成分として知られています。このサビとは、体内の細胞にダメージを与える活性酸素のことで、認知症の原因でもあるアミロイドβによってつくりだされます。サビは脳細胞にもダメージを与えるので、緑黄色野菜のような抗酸化力の高い食品をとり、発生を抑えることで認知症対策にもなると考えられるのです。
ただし、この研究はある種の血中の抗酸化物質の測定によるもので、生涯にわたって測定したものではないので、認知症を予防できるかを調べるためには、さらに研究を続けていく必要がありそうです。