イオンの「トップバリュ」、セブン&アイ「セブンプレミアム」などがよく知られており、今年前半の食料価格高騰に抗して低価格をキープし続けたことで、にわかに脚光を浴びた。

カインズは知る人ぞ知る北関東の流通大手、ベイシアグループ(本部・群馬県前橋市)の1社。ベイシア同様に展開するPBの価格はNBより実に3~5割程度安い。一店舗当たりの売り上げに占めるPBの割合は現在、約3割に上る。

同社では2008年度中に、商品カテゴリーによって異なっていたブランド名を「CAINZ@HOME」、あるいは「@HOME」に統一する。今後は、こうしたPBやメーカーとの共同開発商品を、全商品数の5割に拡大する計画だ。

その中核を担うのが、今年HC商品部に新設された「マーチャンダイザー」という役職。耳慣れぬ呼称だが、PBの商品開発からメーカーの選定、販売に至るまですべての工程を管理する、いわば“プロデューサー”である。そして、全社で数名いるマーチャンダイザーのうちの1人が、ほかならぬ茂原さんだ。

「自分の開発したPBが売れるのが嬉しい」という茂原さんは、「エネルギッシュで努力家。やり始めたら命懸け。趣味は仕事、というタイプ」(常務執行役員・HC商品部長、桜井悟氏)との上司の評そのままに意欲満々だ。

ただ、PB開発は流通業の仕事とは毛色が異なる。実際、大手流通企業のPB担当者が「我々は売り場を持ったメーカーです」と公言するほど、“ものづくり”に傾斜している。

では茂原さんはというと、実家が地元群馬県の小売店。就職活動は流通に絞り、1987年いせや(現ベイシア)入社以降も、93年に黒磯店店長を経験した後はキッチン用品、レジャー用品などバイヤーとしてのキャリアが長い。

そんな筋金入りの「流通マン」は、PB開発という仕事にどう取り組んでいるのか。いまどきの流通の“ものづくり”とは、メーカーとどこがどう違うのだろうか。