ソニーは2009年3月期決算で14年ぶりの赤字に転落した。とりわけゲーム部門の収益悪化が決算に大きく影響した。06年11月に発売されたプレイステーション3(PS3)の累計出荷台数は今年6月末現在で2370万台。初代、2代目の販売台数が1億台を突破しただけに大きな誤算だろう。据え置き型でライバルとなる任天堂「Wii」の5200万台にも2倍以上離されている。
9月3日、ソニーは現行のモデルより1万円安い2万9980円で「PS3」の新型を市場に投入した。任天堂が狙うファミリー層とは違った、よりコアなユーザーへの浸透を狙う。同社のゲーム機事業は、09年3月期まで3年連続の赤字で、この4月には電機事業の一部と統合しただけに、どこまで伸ばせるか……。まさに“正念場”といっていい。
こうした動きを、ゲーム雑誌「週刊ファミ通」を発行するエンターブレインの浜村弘一社長は「3万円を切る値下げは、多くのファンが待っていた。『PS3』向けの『ファイナルファンタジーXIII』のような人気ソフトが発売されれば、今のところは300万台で苦戦している販売台数を押し上げるだろう」と見ている。
コンピュータゲームの国内市場規模はおよそ6億5000万円、使用者は3100万人といわれており、ここしばらくは横ばいで推移してきた。が、ユーザーの高齢化によるゲーム離れ、少子化の影響は避けられない。今後は、エンターテインメントの分野のみならず、教育や健康といったコンテンツへの展開も必要になってきそうだ。
(ライヴ・アート=図版作成)