1000円を切るジーンズが、カジュアル専門店や大手スーパーから相次いで発売されている。この分野に先鞭をつけたのはユニクロのセカンドブランド「ジーユー」で、今年3月に990円という価格設定で市場へ投入。好調な売れ行きを見せ、当初50万本だった年間販売目標を100万本と大幅に上方修正した。
同店の中でも広い売り場面積を持つ西葛西店(東京・江戸川区)の中沢賢一店長は「もともと広い年代層が愛用しているジーンズだが、破格の3桁プライスを実現したことで、2本、3本と選択し、シャツやニット製品とのコーディネートでの購入も可能になった。結果的に既存店の売上高は、発売後3カ月で前年同期比170%。勢いは現在も続いている」と強気だ。
景気に左右されやすい衣料品業界にあって、大きな伸びが期待されるとなれば、後発組の参入は避けられない。2カ月後の5月に、セブン&アイHDが980円の女性用ジーンズを発売したほか、8月にはイオンが880円で、9月にはダイエーも同額のジーンズで市場に参入。西友もこの10月、850円での発売に踏み切った。
まさに“激安ジーンズ秋の陣”という状況を受けて、ジーユーでは9月上旬から男女と子供向けで22色のカラーデニムを990円ジーンズのラインアップに加えた。いうまでもなく、後発大手との差別化を狙った戦略だ。不況下の生活防衛の視点からも、価格は顧客への訴求力が高い。マーケット規模がほぼ横ばい傾向になりつつある中、市場の起爆剤として期待される。
(ライヴ・アート=図版作成)