作業服チェーン「ワークマン」の勢いに陰りがみえつつある。売上高や客単価は上昇を続けているが、今年4月から10月までの既存店客数では、猛暑だった7月を除いて前年割れとなっている。ライターの南充浩さんは「原因のひとつは『職人客離れ』だろう」という――。
ワークマン女子
出典=PR TIMES/株式会社ワークマン

既存店の客数が減り始めた

作業服からカジュアル路線にかじを切り、急成長を遂げたワークマンの業績に陰りが見え始めています。決算ベースでは現在も成長が続いているものの、今年4月以降の月次速報では7月と8月を除いて既存店売上高が前年割れとなっているのです。ワークマンでは「単月の既存店は、当該月末現在に継続して満13カ月以上営業している店舗で算出しております」と公式サイト上で説明しています。

この既存店売上高の前年割れは東洋経済オンラインの記事でも指摘されています。さすがの着眼点と言わねばなりません。ただ、私は既存店売上高よりも既存店客数の減少のほうが深刻ではないかと考えています。というのも、7月を除くとすべての月で既存店客数が前年割れしているのです。ちなみに既存店客単価は4月から9月まですべての月で前年超えを果たしています。

経済メディアや衣料品業界では、全体の業績もさることながら、既存店の売上高、客数、客単価の増減を重視しています。なぜなら、全体の売上高は新店舗の出店数を増やせば確実に増えるからです。

極端な言い方をすると、赤字を垂れ流してでも新規店舗をどんどん出店すれば売上高は増え続けます。ですから新店舗も含んだ全社売上高の昨年対比なんていうのは全く当てにならないのです。一方、出店から1年以上が経過している既存店の業績が伸びていれば、顧客からの支持が続いていると読み取れます。

客数はブランドの支持を測る最も重要なバロメーター

企業側が発表する月次速報は、売上高、客数、客単価の3つの昨年対比の増減のみを公開しています。金額、人数の実際の数字は公開していませんので、その増減で企業業績を判断するほかありません。

以上のような理由で、決算にせよ月次速報にせよ、その店やブランドがいかに支持されているかを知るには、全体業績よりは既存店業績のほうがバロメーターとして適切だということになります。既存店業績の月次速報の中には、売上高、客数、客単価の3つの指標があります。どれも重要ですが、筆者としては最も重要なのは客数ではないかと思います。

通常、「客数」は「入店客数」ではなく「買い上げ客数」を指します。既存店の買い上げ客数が増えていればお客から支持されているといえますし、客数が減っていれば支持されにくくなっていると考えることができます。