作業服メーカーにとってカジュアル化は悲願だった

作業服需要は職人の総数が短期間でそんなに大きく増減しないため、安定していて大きく落ち込まない代わりに大きく伸びることもありません。一方、カジュアルははやり廃りが激しく、需要人口が大きいので短期間で大きく売れ残ることもありますが、大きく売上高を伸ばすこともあります。作業服メーカーにとってはハイリスクな一方ハイリターンも期待できるため、ワークマンが脚光を浴びる以前から各作業服メーカーもカジュアル進出に挑戦してきました。

一例を挙げると、ディッキーズというブランドは2000年代前半ごろまで、大手作業服メーカーの「自重堂」がライセンス生産をしていました。現在はVFジャパン社が企画製造販売を担当していますが、かつて2000年ごろのディッキーズの衣料品は自重堂の企画生産だったのです。

結局、今から振り返れば自重堂のディッキーズも成功したとは言い難いのですが、このようにカジュアル進出は作業服業界の長年の悲願でもあったのです。

また、立地的にも作業服業界はジーンズ業界と近しい関係にあります。岡山県や広島県福山市周辺はジーンズの産地として広く知られていますが、同時に作業服メーカーが多く集積する場所でもあります。また大手学生服メーカーも集積しています。一般的にはジーンズに注目されがちですが、産業の成り立ちからいうとジーンズは新参者で、学生服や作業服のほうが歴史は古いのです。

国内でジーンズの縫製が始まったのが1960年代ですが、学生服や作業服はそれ以前から存在します。むしろ、同じような厚地織物を縫い慣れているということから、学生服や作業服の縫製工場やメーカーがジーンズへと転身していまに至ります。ですから、当時の国内作業服メーカーからすればジーンズカジュアルへの進出はそれほど難しいことではないと感じられたのでしょう。

成長期を過ぎたワークマンは次のステージに順応できるか

メディアも含め一般人からはワークマンが注目を集めていますが、作業服メーカー各社の商品デザインも同じように洗練されカジュアルファッション化しつつあります。一般の知名度はそれほど高くはないでしょうが、「バートル」や「TSデザイン」と言った作業服ブランドの人気が職人客の間では高まっています。こうした傾向の先駆けとなったワークマンの功績は大きかったといわねばなりません。

今後、ワークマンは新店舗出店、新業態開発などで企業規模自体はまだまだ成長するでしょうが、急成長が見込めるような段階は終わりつつあり、既存店顧客もそろそろ減少傾向になっています。急激な成長期が終わりを迎えようとしている今、ワークマンはどんな手を打つのでしょうか。

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