昭和の時代、少年たちの必須アイテムだったベーゴマが現代風にアレンジされて蘇った。タカラトミーが昨年8月に発売した「メタルファイトベイブレード」は、今年9月末までに832万個を出荷。パーツを組み替えて、自分だけのオリジナルを作り、相手と戦うという、この玩具ならではの醍醐味がヒットに結びついた。
開発を担当した同社ボーイズホビーチームの高岡悠人氏は「10年前にも初代ベイブレードがブームになったが、今度の『ベイブレード』は格段に進化した。コマには攻撃型や防御型といったタイプがあり、プラスチック製だったパーツの一部を金属に替え、激しい衝突も可能にしている。もはや、遊びというよりはスポーツ感覚に近い」と説明する。
新商品の3割がヒットすればいいという玩具業界にあって、その時代のムーブメントになれるのは1割。高岡氏は「対決は人間の本能。ベイブレードが衝突するときに生じる重たい金属音は、多くの人を魅了したはず」と分析。コミックやテレビアニメとの相乗効果を得て、初代が販売した1億6000万個達成に自信を示す。
主なターゲットは小学生だが、今回のブームを加速している要素に、玩具店が店頭で開催する競技イベントがある。そこには200人もの子供たちが集まり、公式ルールに則って戦い、勝利者は全国大会に進む。会場では、少年のかたわらに父親がセコンドのように寄り添ってアドバイスしている姿も見受けられ、親子2世代を巻き込んだ市場に育ったようだ。
(ライヴ・アート=図版作成)