地方自治体が、東京都内に出店しているアンテナショップが元気だ。現在、有楽町や銀座などに店を構えているのは29の県や市。産地がわかり安全・安心な食品が買えるほか、手軽に旅行気分が楽しめる。週末には地元観光協会などによるイベントも開催され、多くの施設で来館者数と売り上げを伸ばしている。
表参道ヒルズの近くにある「新潟館ネスパス」も好調なショップの1つ。特に2009年は、NHK大河ドラマ『天地人』の舞台が越後だったという追い風も受け、10年3月時点で来館者が初めて年間100万人に達する見通しだという。3年前のリニューアルに合わせて開設した物販コーナーも5億円を売り上げる勢いだ。来館者は女性が多く、40代以上が6割超を占める。店内には550品目が並び、新潟ならではの食材や郷土料理の人気が高い。
館長の後藤一安氏は「ここの役目は、首都圏のお客様のニーズを探ること。それをフィードバックして地場産品の品質を高め、より魅力のあるものにしたい」と話す。コンセプトは“地産外消”。まずアンテナショップで新潟のよさを知ってもらい、現地への観光を誘致する戦略だ。
こうしたブームを陰で支えているのが、アンテナショップのポータルサイト「風土47」である。ここでは毎月、月刊マガジン風にトラベルやグルメの視点から情報発信をしている。このサイトを見て、店に足を運ぶ人たちも多いだろう。ウェブと実店舗の相乗効果が、さらにブームを加速するかもしれない。
(ライヴ・アート=図版作成)