賃金が低下する「3つの理由」
お金の分野では、2020年は激変の年になりそうです。まず、会社員の賃金は総じて低下していくでしょう。これには3つの理由があります。
第1は「終身雇用の崩壊」。日本型の雇用システムは限界を迎えており、19年は経団連会長による終身雇用の見直し発言も話題になりました。財界が見直しの方向へ舵を切れば、20年は「終身雇用崩壊元年」に。これに伴って統計賃金も下がるでしょう。
第2は、20年4月から中小企業にも適用される「働き方改革関連法」です。特に影響が大きいのは時間外労働の上限規制で、施行されれば会社員の残業代が目減りすることは間違いありません。
第3は、同じく4月から始まる「同一労働同一賃金制」です。非正規社員の賃金引き上げが難しい企業は、正社員の手当を下げて同一化を図るはず。すでにそうした企業も現れています。賃金が低下すれば消費も悪化するため、東京五輪後の景気はかなり冷え込むと予想されます。
一方、日本の景気にはアメリカの動向も影響します。直近の懸念は米中貿易協議の行方です。決裂すれば景気後退は必至でしたが、20年の選挙に向けて実績を必要としているトランプ米大統領は早速、部分合意を発表しました。