さて、そのなかで会社員はどんな手を打つべきでしょうか。賃金は下がり終身雇用や年功序列は崩壊、年金も期待できないとなると、現役のうちから副業や定年後の職につながる実力づくりをしたほうがよさそうです。

今40歳前後の人は、キャリアの後半戦も引き続き稼げるよう、昇進レースより社外で通用する実績づくりを重視したほうがいいでしょう。加えて若手を大切にすれば、定年後も慰留してもらえる可能性が高まります。また、マンションの管理組合などで地域デビューし、社外の世界を体感しておくのもおすすめです。

すでに後半戦に入った50歳前後の人はどうでしょうか。今や上意下達も年功序列も過去の話。働き方は多様化し、家庭との両立を重視する機運も高まっています。もし、あなたがこの流れについていけない“昭和上司”なら、価値観の転換を図りましょう。この先も稼ぎ続けるには、今すぐにでも大胆なメタモルフォーゼが必要です。

60歳前後の人は、上記のような準備なしに定年を迎えたら、再就職は厳しいかもしれません。それならと退職金で飲食店を始める人もいますが、維持費や改装費を考えると、長く稼ぎ続けるのは至難の業と言わざるをえません。

まずは知識や経験を書き出そう

定年後の収入源や副業としておすすめしたいのは「個人でできるサービス業」です。長く働き続けてきた人なら、必ず何らかのノウハウを持っているはず。まずは自分の知識や経験を書き出して、そこから新たなサービスを考えてみてはどうでしょうか。

そして起業するなら、インターネットやシェアオフィスを利用した、初期投資ゼロでできる業種に絞りましょう。今は起業家の間でも、初期投資なしで事業を始めるのが主流になりつつあります。

最後に投資ですが、今は20年ほどかけて残高を積み上げていくのが基本です。投資は習い事と同じで経験値がものをいう世界。退職金での「一気買い」は避け、少額で経験を積むことから始めてください。まずは毎年40万円まで投資でき、最長20年間、投資利益が非課税となる「つみたてNISA」を活用してください。

(構成=辻村洋子 写真=Getty Images)
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