総裁就任で市場は乱高下
市場の混乱は自民党総裁選が行われた9月27日から始まった。午前中は対抗馬である高市早苗氏が優勢と伝えられ円安・株高の展開となった。だが午後になって石破氏の総裁就任が決まると、為替市場ではドルが一気に急騰。週明けの東京株式市場では日経平均株価が一時、2000円を超す下落となった。
よく知られているように、石破氏は金融正常化や財政健全化に前向きであり、首相に選出されれば金利が上がるとの見方が市場関係者の中で広がっていた。一方、高市氏は安倍元首相の後継者を自認するなど、アベノミクスによる低金利政策の継続を訴えている。総裁選の最中、日銀に関して「このタイミングで金利を上げるのはアホ」とまで発言しており、利上げについて強くけん制する状況だった。
非常に残念なことだが、過去30年にわたる景気低迷の結果、日本の株式市場は海外投資家にとって主要な投資対象ではなくなっている。今の日本市場に投資する外国人投資家は、多くが短期的な利ザヤを稼ぐことを目的とした、いわゆる投機筋であり、彼らはかなり荒っぽい投資を行う。
石破ショックが発生した理由
高市氏が首相になれば、アベノミクス継続=ゼロ金利継続が連想されるので、短期的には円安・株高の流れとなる。投機筋は高市氏優勢のニュースを聞き、株を買い上がると同時に円を売る取引を行った可能性が高い。その後、石破氏勝利が決まると、一部の投資家は利益確定を行うだけでなく、逆のポジション(株売り、円買い)を組み、円高と株安が一気に進んだ。
株価下落に慌てた石破政権は火消しに躍起となり、植田総裁との会談では「現在、追加利上げをするような環境にあるとは考えていない」と発言。「金融緩和基調は基本的に変えることはしない」というコメントも出し、市場に対して低金利を持続する方向性を示した。この結果、市場は全く逆の反応となり、株価が上昇。為替も一気に円安に戻している。