10年で大きく変わった目の治療法
目の病気で、この10年間で一番大きく治療法が変わったのは、滲出型加齢黄斑変性でしょう。高齢者に多い疾患で、ものが歪んで見えたり、視野の中心が黒ずんだり、かすんだりし、放置すると発症から1年ほどで視力を失ってしまうこともある難病です。
日本ではここ10~20年で症例が増加しており、緑内障、糖尿病性網膜症、網膜色素変性症に続き、失明原因の第4位となっています。
滲出型の加齢性黄斑変性症は、手術で原因となる新生血管を取り除いても予後が悪く、かつては不治の病と見られていました。しかし10年ほど前から、抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬を目の中に注射することで、新生血管を退縮させ、網膜の変形を回復させる治療法が登場しました。
注射ははじめは月に1本、3カ月後からは定期的な診察を続けながら状態に応じて注射を追加する方法でよく、患者さんは軽くチクッとする程度です。この治療法で多くの患者さんが失明を免れるようになりました。