大量の冷や汗、胸部圧迫感

前日までニコニコ談笑していた人が翌朝、起きてこない、出張先で倒れた――など「突然死」の85%は、心筋梗塞や致死的な不整脈をはじめとする心臓の病気が原因です。

急な胸の痛みなど典型的な症状で見つかるのは心血管疾患の一部で、意外に肩こりや背中の痛み、腹痛や吐き気、あるいは突然の熱感や冷や汗、奥歯の痛みなどで発覚することがあります。ある程度の年齢になったら、こうした症状についても注意が必要です。医局にいた時代に当時の教授が「へそから上の痛みは、必ず心臓を疑え」と口をすっぱくしていましたが、その通りだと思います。

普段とは異なる異変に気がついたら、一刻も早く循環器内科や心臓血管外科を受診し、必要があれば手術に踏み切るべきです。

私自身は57歳の2004年12月6日の早朝に、不安定狭心症の発作を起こしました。朝7時10分ごろにトイレに立ったら突然、経験したことがない大量の冷や汗が出たのです。

「あれ?」と思っていると胸部圧迫感も出てきました。これは心臓だと思い、知己の心臓血管外科医の南淵明宏氏に電話をして家人とタクシーを飛ばしました。それまで全くの健康体で降圧剤すら飲んでいませんでしたからね。後から思えば前日に都内で講演会に出席した際に「何かいつもよりキツいなぁ、年かなぁ」とは感じていたのですが、本当に突然のことでした。