熟年の女性客にきれいな蓮の花

僕がツアーでやることはひとつ。お客様を笑わせるだけ。ツアーの始めには「よく、こんなしょうもないツアーに来ましたなあ」とお客様に言うんです。「あんたが『来い』ってゆうたやないの」とお客様が反応してくれたら、「忘れてました」とボケる。そしたら、大体のお客様は笑ってくれますわ。会って最初の1分が勝負。ここで笑わせられるかどうかです。

カリスマ添乗員 平田 進也氏

大阪では「商売」を、「笑いを売る」で「笑売」と書くんです。笑いの中に商談は成立する。笑っていれば、気持ちよく印鑑を押す。会っていきなり本題に入ろうとしてもうまくいかないんです。初めて会うときには、誰にでもバリアがあるもの。それをね、最初の1分の笑いで崩すんです。

私が大切にしているのは、面白くて声を出して笑うのと、褒められたときに嬉しくて笑顔を見せる笑いのふたつ。それを「ユーモア→くさび→ユーモア→くさび」の順でテンポよく話す。ユーモアのミルフィーユですわ。例えば、私のツアーには熟年層の女性が多いので、こんなふうに言います。「わー、今日は美人さんばかりですね。この間の婦人会はブサイクばかりやったわ。今日みたいな、こんなきれいなお花畑は初めてですよ。きれいな蓮の花ですなぁ」。