ラーメン店をスペインに出店して大失敗
あたしは、人から教わった古典のまくらは使わないんです。自分が実際に体験したおもしろい話をまくらにする。なぜなら、それが一番おもしろくてお客さんにもウケるからです。本当にあったことなら、聞いた人が自分の体験と重ね合わせて「なるほどな」と思ったり、「そんな世界もあったのか」と食いつくんですね。
なかでもウケがいいのが失敗談です。人間が一生懸命やってるのにちっともうまくいかないおかしさっていうのを感じると、笑えるし、ホッとするんですね。「そうそう、おれもそうなんだよな」って。そこんとこを切り取ってしゃべると、聞いてる人は共感したり優越感を持つんですね。
例えばまくら(枕)で「スペインのバルセロナでラーメン店を開業したときの話なんですがね」、なんて話すと、まずスペインとラーメンというのがお客さんにとっては意外だから興味を持つ。で、「バルセロナは火山灰地の上につくられた街なので、水道水が塩素が多くて白濁で、メンマを茹でることができないんです。これにはびっくりで浄水器を買うところから始めました」と話すと、「え、そこから?」と軽く笑いの声が上がる。さらに、「でも注文が来たらゆだってないのに麺の上に載せて出しちゃう。スペイン人はメンマなんか食べたことないから大丈夫」とオチをつけると、爆笑が起きるんです。