イメージの悪化が業績下落につながった例は多数

ごく当たり前だが、企業のイメージの良しあしは販売に大きな影響を及ぼす。イメージ悪化で業績が悪化した企業は少なくない。例えば、居酒屋大手のワタミが典型例だ。同社は過酷な労働実態が問題になり、「ブラック企業」との批判を受けてイメージが悪化した。これが影響して客足が遠のくようになり、業績が悪化した。

ワタミは事態打開のため、イメージの悪い“わたみ”の名を冠した居酒屋「和民」「わたみん家」を“わたみ”の名を冠していない居酒屋「三代目鳥メロ」「ミライザカ」に転換していった。この“ワタミ隠し”が功を奏し、売り上げが上向くようになった。これはイメージの良しあしで売り上げが大きく変わった最たる例といえるだろう。

回転ずしチェーン大手のくら寿司と定食チェーン「大戸屋」を運営する大戸屋ホールディングスも、今年2月に「バイトテロ」に見舞われて以降、既存店売上高が苦戦するようになった。

こうした原理は当然、大塚家具にも作用する。もっとも、海外展開において国内でのイメージ悪化はほとんど関係がないし、国内でも法人営業であれば個人客ほどその影響は受けない。海外展開や法人営業を強化するのは、こうした事情もあるだろう。だが、国内の店舗販売を収益源として維持するためには、イメージを向上させる施策がやはり欠かせない。

「親子の和解」を試みるも失敗した

そのためにもっとも有効なのは、もちろん「親子の和解」だろう。それを意識してか、久美子社長は今春、新たに設立した業界団体「スローファニチャーの会」の名誉会長に就任するよう勝久氏に直接要請し、和解を試みている。2人の面会は4年ぶりで、注目が集まった。しかし、勝久氏はこの要請を断り、和解は幻に終わった。

ネット上では「勝久氏を名誉職に祭り上げようとした」「渋々和解を試みた」「業績回復のために父親を利用した」など、久美子氏に対して否定的な意見が多く飛び交った。勝久氏が要請を断ったのも、こうした久美子氏の狙いを嫌ってのことだろう。結果として世間に「茶番劇」を見せた形となり、イメージ回復どころか、さらなるイメージ悪化につながった印象さえある。

両者の間には、当人にしかわからない複雑な事情があるのだろう。だが、それは消費者には関係のない話だ。そういった私情を消費者が目にする場に持ち出して、経営にプラスに働くはずがない。大塚家具は消費者の気持ちを無視した経営を行っているといえるが、そうしたやり方で成功した企業を筆者は知らない。

大塚家具が復活を遂げるには、消費者が抱いている「骨肉の争いを繰り広げた企業」というイメージの払拭が必要だ。いずれにせよ抜本的な対策を講じる必要があるだろう。残された時間は少ない。

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