ユニクロと無印良品。2つのブランドは、どこが違うのか。甲南女子大学の米澤泉教授は「無印良品がブランドを通じて『くらし』を提供する一方、ユニクロは服を通じて『くらし』を売っている。これは決定的な違いだ」と指摘する――。

※本稿は、米澤泉『おしゃれ嫌い 私たちがユニクロを選ぶ本当の理由』(幻冬舎新書)の一部を再編集したものです。

発売開始から15年目を迎えたユニクロ「ヒートテック」
写真=時事通信フォト
2017年9月25日、発売開始から15年目を迎えたユニクロ「ヒートテック」の新ラインナップ発表会。世界中で販売されている「ヒートテック」は累計販売枚数が10億枚に達した(東京都渋谷区のヒカリエ)

「環境や人にやさしい」ファッションの人気

近ごろ、消費者の意識の高まりとともに、エシカルファッションが一般に浸透するようになった。エシカルファッションとは、狭義では「良識に基づいて生産、流通されているファッション」を指し、エシカル消費とは、そういったアイテムを選択し、消費することを意味する。

とはいえ、消費者庁が2017年にまとめた意識調査によると、「『エシカル(倫理的)消費』『エシカル』という言葉を知っているか」という問いに対して、知っていると回答したのは10.4%にすぎない。この時点では、まだ言葉の認知度は低かったのだ。

しかしながら、「エシカルな商品・サービスの提供が企業イメージの向上につながるかどうか」については、65.2%が「そう思う」「どちらかというとそう思う」と前向きに評価すると答えている(2019年1月5日付日本経済新聞)。

さらに、2019年に入ってからはファッション誌でもエシカル消費を積極的に取り上げるようになった。『CLASSY.(クラッシィ)』2019年2月号では、「自分だけじゃなくて、世の中にもいいものを選びたいからこれからはオシャレも『エシカル』の時代です」と題して、「“環境や人にやさしい”をコンセプトにした新しいファッション」である「エシカルファッション」が特集されている。

また、同時期の『ヴァンサンカン』でも、ラグジュアリーでなく、ラブジュアリーをテーマに「地球LOVEなエシカルファッション」(『ヴァンサンカン』2019年2月号)が紹介されているのだ。