現預金は100億円超から22億円に

特に問題なのが現預金の減少だ。今年9月末時点の現預金は昨年末から約10億円減って21億9000万円になった。勝久氏が大塚家具から去って久美子氏が全権を掌握した15年には100億円以上あったことを考えると、現在の水準は危機的と言えるだろう。

現預金は来年の春までに尽きる可能性がある。企業が営業活動で獲得した資金である「営業キャッシュフロー」は厳しい状況にあり、19年1〜6月期は29億円のマイナスだった。単純計算で毎月約5億円のキャッシュが営業活動で流出したことになる。販売不振がこのまま続き、土地など資産の売却や金融機関からの借り入れといった営業活動以外の面で資金を獲得できなければ、半年もたたずに現預金がなくなる可能性がある。

また、そうした資金確保が実現したとしても、結局のところやはり営業活動で資金を獲得する必要がある。そうでなければ、調達できたとしても資金は右から左に流れるだけだ。

今後は外商とネット通販に注力する方針

もちろん大塚家具は対策を何も講じていないわけではない。リストラを進めてコスト削減を図り、この面ではある程度成果を出している。ここからは売り上げを上げられるかが問われてくるが、施策として、国内では店舗販売は従来より縮小させる一方で、法人や個人の顧客を訪問して販売する「外商」とインターネット販売を強化して売り上げを向上させたい考えだ。また、提携企業への販売や海外市場の開拓にも力を入れていくという。

ネット通販に力を入れると発表している大塚家具が打ち出した「バーチャルショールーム」。ウェブ上で実店舗のショールームを疑似体験でき、そのまま購入できる仕組みになっている。(画像=大塚家具プレスリリースより)

つまり、今後は国内の店舗の重要性は相対的に低下していく見込みだ。ただ、なくてはならない収益源であることに変わりはない。業績を改善させるには、店舗販売を伸ばす施策が欠かせない。

そこで特にネックとなるのが、現在の大塚家具のイメージだ。お家騒動により消費者の間に「骨肉の争いを繰り広げた会社の家具を部屋に置きたくない」といった同社に対するマイナスの感情が広まってしまい、イメージは大きく悪化した。それにより顧客が遠ざかり、業績が悪化していった。