アート作品には、「仕手株」のような動きもある

もちろん、オークションでの落札価格が高騰していけば、新作でも「プライマリー・マーケット」の価格に影響が生まれ、上がっていくことになります。

秋元雄史『アート思考』(プレジデント社)

この仕組みも株式市場と同じで、会社の上場時に株をマーケットで売った株主はプライマリーでの収入を得ることができますが、その後、どれだけ市場で株が売買されても、その取引による利益を得ることはできません。

株式市場ではときに「仕手株」のように、特定の投資家たちが意図的にまとまった資金を流入させることで、急激な株価のつり上げやつり下げが行われることがありますが、アートの世界でもときおり似たようなことが行われています。

画商の仲間同士で高額落札を繰り返して、絵や作家の価値を上げていくケースですが、そのような人為的操作で一時的に価値を上げても、長続きすることはありません。やはり多くの人々がその作品に引きつけられ、何としてでも手に入れたいといった願望が高まるからこそ、価格は無制限に高騰していくのです。

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