今、ビジネスの流れが大きく変わろうとしている。これまでは課題に対して、分析的、論理的、理性的な思考を使って解を導いてきたが、それだけでは解決できない問題が次々と出てきている。独立研究家の山口周氏は、このような時代だからこそ「アート思考」が必要であると断言する。
パズル
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理性や科学が踏み込めない感性の領域に必要なもの

情報分析や論理思考で目の前の現実を整理して的確な意思決定ができる。これまではそういうビジネスパーソンが優秀だといわれてきました。しかし、いま世界はかつてないほど複雑で曖昧になっています。この傾向は、今後さらに進んでいくでしょう。そうなると過去の経験に基づいたパターン認識では、未来は見通せなくなります。

つまり、ビジネススクールに通ったり、ビジネス書を読んだりしても、もうそれだけでは仕事ができるビジネスパーソンにはなれないのです。

では、何を学べばいいのか。

それは、アートです。

これがあれば快適だ。もっと生活が楽になる。そういう人々の生理的欲求や安全欲求の不満をいかにして解消するかが、従来のビジネスの課題でした。そして、その解を導き出すのに有効なのが、分析的・論理的・理性的な思考だったのです。

ところが、もうそのレイヤーにフロンティアはほとんど残っておらず、世界はモノであふれかえっています。実際、日本を含む先進国では、物質的欲求に対する満足度がほぼ90%にまで達しているのです。

だからといって満たすべき欲望がなくなったわけではありません。マズローの欲求5段階説によれば、どうやら人は生理的や安全に対する欲求が満たされると、その上位にある承認、そして自己実現を欲するようになるといいます。

それを手にすることで気分が高揚し、思わず誰かに自慢したくなる。

インスタグラムにアップしたら「いいね!」がたくさんつきそう。

「そういう何か」ならばお金を払っても手に入れたいと思うのが、新しい消費者の姿なのです。

ビジネスパーソンに求められているのは、まさに「そういう何か」をイメージできる能力だといっていいでしょう。

そういう上位欲求が生まれてくるのは、理性や科学が踏み入れない感性の領域にほかなりません。

そのために、アート思考が有効なのです。

Art Thinking

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本プログラムでは、『ビジネスの未来』(プレジデント社刊)の著者である山口周氏、『アート思考』(プレジデント社刊)の著者で、ベネッセアートサイト直島を担当、金沢21世紀美術館館長を務めた秋元 雄史氏、アートの実地教育に長けたアート・アンド・ロジックといった、第一線で活躍するメンバーが「アート思考」を体系的・実践的にお伝えします。
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