海外の日本企業で働く労働者たちが日本人との給料格差に不満を抱いている。格差の不満解消の方法を「同一労働・同一賃金の原則」と絡めて筆者が検証する。
ホンダ中国工場ストライキの真相
ホンダの中国の工場で、労働者が賃上げを要求してストライキに入ったという報道があった。日本人出向社員の給料が現地の労働者の50倍であるという不平等に対する不満がストライキのひとつの理由になっているという。日本人出向者の給料を開示せよという要求もあるようだ。その要求の基本となっているのは、「同一労働・同一賃金の原則」だという。中国の労働者の意識の変化を感じさせる出来事である。
「同一労働・同一賃金の原則」は、日本の国内でも、正規労働従業員と非正規従業員との処遇格差の解消をめざす人々の間で語られることが多い。しかし、私は、この原則に疑いを持っている。この原則をストレートに適用すると、悪平等あるいは不公正が生じる可能性があると考えるからである。このような疑いを持つ理由は4つある。
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