最終ターゲットは中国市場にあり

ハイブリッド車(HV)を昨年販売しなかったにもかかわらず、日産自動車の業績が回復している。2010年3月期の連結営業損益は2900億円、連結最終損益は350億円の黒字になる見通し。09年3月期は2337億円の赤字。10年3月期は従来、400億円の赤字を予想していたが一転した形だ。ただし、2900億円もの急回復した営業黒字を支えたのは、原材料費や一般管理費を含む合理化による効果が大きい。

日本国内市場では、HVが好調。09年度の新車販売台数は前年度比3.8%増の488万265台と、4年ぶりのプラスとなったが、牽引したのはHVである。トヨタ「プリウス」が27万7485台でトップ。HV車の車種別首位は、初めて。同じくホンダ「インサイト」も、9万6616台で軽自動車を除く登録車の販売で6位に入った。

日産の販売好調は「中国市場」が支えている!
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日産の販売好調は「中国市場」が支えている!

HVを販売しなかったのに、日産はなぜ調子がいいのか。

東京都市大学都市生活学部の井上隆一郎教授は、「日産好調の理由は2つ。ひとつはHVは儲からない。なかったから、逆によかった。もうひとつは、中国の内陸部での販売が好調」と指摘する。

埼玉県内のトヨタディーラーの営業マンは言う。

「プリウスは誰でも売れる。逆に、マークXなど利益率が高く、収益源の車種が、安いプリウスと競合して売れなくなったので、全体として利益が下がった」