80年代に起こった世界規模の合従連衡

タイヤ業界・再編で3社寡占化
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タイヤ業界・再編で3社寡占化

今年1月、タイヤ世界最大手のブリヂストンが「脱シェア競争」に転換したと報じられ、話題を呼んだ。世界不況による需要の激減、中国をはじめとする新興国メーカーの安価な製品による攻勢などが要因となって、経営の舵を大きく切ったと見る向きが多いが、これは一面的な見方でしかない。

ブリヂストンの「脱シェア」は、そうした急場凌ぎの舵切りではなく、国際企業としての将来像を見越した動きと捉えるほうが妥当だろう。いわば、「能力増強一辺倒の経営」から「持続可能な経営」への転換である。

これには、タイヤ業界のある特殊な事情が反映されている。

1980年代、タイヤ業界では世界規模の合従連衡が次々と起こった。ブリヂストンがファイアストンを買収し、ミシュランがBFグッドリッチをはじめとする10社のメーカーを傘下に置くなど、他の分野に先駆けて業界の再編が大幅に進んだ。

それは、タイヤ業界がストックのマーケット、つまり、新車用タイヤの供給より補修用タイヤの供給に厚みを持つリプレース市場が主力であるため、強いブランド力と販売チャンネルを持つことが、他社より優位に立つ必須条件だったからだ。

この時期まで、激しいシェア争いが繰り広げられていたが、再編が進むにつれ、価格競争も含む過剰なシェア争いは不毛だということが徐々に明らかになってきた。この間、原料の天然ゴムの価格も上がっていたため、低価格で大量に販売しても採算は上がらず、自社の収益性を下げるだけだということがわかってきたのだ。