法的手続きの前にスポンサーを決める

事実上破綻し、東京地方裁判所の監督のもとで、管財人である企業再生支援機構等の管理下に入った日本航空(以下JAL)。今回、JALの会社再建プロセスで導入された手法は、「プレパッケージ型事業再建手続き」(以下プレパッケージ)と呼ばれるものだ。

破綻した企業を再建する場合、法的手続きであれ私的整理手続きであれ、プレパッケージを採用する場合には、手続きを開始する前に、まず再建企業をサポートするスポンサーを決めることとなる。JALのケースでは、支援機構がスポンサーの役目を果たした。

日本の法的手続きでは認められていないが、米国の法的再建手続きである「チャプター11」では法文上も、プレパッケージが認められており、法的倒産手続きの申し立て前に、債務者企業の法務・財務の内容・ビジネスの概要を確認して、再建計画案を作成し、債権者の法定多数の同意を得て後、はじめてチャプター11の手続き申し立てを行うこともできる。裁判所は申し立て直後に、すでに債権者の同意を得た再建計画の認可を行い、チャプター11手続きは完了する。

日本では、この手法が法文上認められていないため、スポンサーが事前に名乗りを上げてから法的再建手続きの申し立てを行うのが、日本型のプレパッケージであるとされている。スポンサーのない法的再建手続き(会社更生や民事再生)と比較すると、倒産手続きの期間と費用を最低限度に抑えるとともに、申し立てによる債務者企業の信用悪化をスポンサーの信用補完で抑えて、事業価値の毀損を最小限度に抑えることができる。

日本におけるプレパッケージの成功例としては、京セラによるコピー機の三田工業の再建やセゾングループによる牛丼の吉野家の再建がある。これらが行われた当時は、再生に乗り出すスポンサー企業は、窮状にある人や企業を救うという意味で、一種の義人扱いされていた。しかし最近では、再建が成功すればスポンサーが大きな果実を享受できることがわかって、いわゆる「再建ビジネス」として注目されるようになった。