「近々、書棚を撤去する」という告知が話題に
東京メトロ千代田線根津駅の不忍池方面改札に、電車の形をしたユニークな書棚が置かれているのを見たことはあるだろうか。名前を「根津メトロ文庫」という、この無人の図書室。誰でも自由に本を借りることができ、読み終わったら書棚に返せばよい。かつて根津駅の駅員が手作りしたという2両編成の書棚は、ステンレスの外板や灯火類、パンタグラフまで設置された本物志向だ。
駅員が持ち寄った約300冊の本からスタートした根津メトロ文庫には、地元を中心に本を寄贈したいとの申し出が相次ぎ、やがて文庫本を中心に古典的名作から歴史小説、ライトノベル、評伝、ビジネス書まで、書棚にはさまざまな本が並ぶようになった。地域と利用者に愛され、育てられてきた文庫であった。
そんな根津メトロ文庫の書棚に10月末、「近々、書棚を撤去する」という旨の告知が貼り出されたとネットで話題になった。東京メトロ広報部に確認したところ「書棚の老朽化が進んでいることに加え、時代の変化に伴い、利用率も減っていることから撤去を決定した」との回答があった。撤去の日時や、撤去後の処遇は未定だという。