会社に入ったからには、できるだけ出世したい。しかし、その過程ではライバルとの駆け引き、派閥争いから社内恋愛まで「嫉妬」と無縁ではいられない。そんなしがらみを上手にやりすごす方法はないものか。周囲の目を気にせずキャリアアップできる人の思考法について、アクサ生命の安渕聖司社長に聞いた──。「プレジデント」(2019年11月1日号)の特集「『嫉妬』の黒い心理学」より、記事の一部をお届けします。
レースの先頭を走りたい【若手編】
(悩み)上昇志向が強く、出世争いでも絶対に同僚や後輩に負けたくありません。どうすれば出世街道を歩むことができますか?
【安渕】そもそも私は「出世したい」と思ったことが1度もありません。私にとって興味があるのは、「どうすればより大きな仕事ができるか」「どうすれば自分をもっと成長させられるか」ということだけです。
私が新卒で三菱商事に入社したのは、海外で働いてみたかったことと、会社に留学制度があったことが理由です。この2つの夢を叶えるには、より大きな仕事をして早く成長するしかないと考えました。だから若手の頃から、常に自分の2つ上くらいのポジションにいる上司や先輩たちの仕事を見て、いかに早くそれに追いつくかを考えてきた。上司に頼まれた仕事をやり切るのはもちろん、頼まれなくても仕事に役立つ情報があれば勝手に調べたり、周囲の期待以上の成果を出そうと考えるようになりました。
それは出世のためではなく、目の前にあるハードルを越えて120%の仕事をすることが単純に楽しくて好きだったからです。それを繰り返していたら、結果的に肩書がついてきた。それが私の率直な感想です。