大事なのは人を評価するときに、自分と比べないこと。おそらく「出世できるか、できないか」に敏感な人は、肩書やポジションという形で、自分を認めてほしいと考えているのではないでしょうか。でも自分で自分の良いところを肯定すれば、他人の評価に依存しなくなります。人と自分を比べるのではなく、自分で自分の個性を認めることができれば、過度に人を意識することもなくなる。大事なのは他人の負の感情を気にしないことです。

人が変わったと言われる【部長・役員編】

(悩み)昇進した途端「偉そうな態度をとるようになった」と悪評が広まっているようです。部下の数が増えるのですから、周囲への態度が変わって当然だと思うのですが、間違っているでしょうか。

【安渕】肩書とは「誰が偉いか」を決めるものではなく、その人が組織の中で果たすべき「役割」を示します。私には社長の肩書がついていますが、それは会社の中で一番偉いという意味ではなく、「経営や組織全体を最も大きな視点で捉える役割」をもらったということ。その役割を頂いたことはとても嬉しく思いますが、肩書さえあれば人がついてくるわけではありません。周囲の信頼や協力を得られるかどうかは、自分の力次第なのです。

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私は自分や相手の肩書がどうであれ、人によって態度を変えないことを徹底してきました。その背景には、ボランティア活動の経験があります。私は12年ほど前から、海外の難病施設を手伝いに行く、養護施設の高校生に英語を教えるプログラムなど、いくつかの社会活動に参加してきました。こうした場所では、会社での肩書は通用しません。ボランティアの参加者たちは互いをさんづけで呼び合い、それぞれが何ができるかを考え、自分の役割を果たすのです。

こうして上下関係のない環境を経験すると、会社でも肩書で物を言うことはなくなります。自分が肩書に縛られやすい自覚がある人は、ぜひ会社の外の世界に触れ、上下関係のない人間同士の付き合いを経験することをおすすめします。

(構成=塚田有香 撮影=市来朋久 写真=Getty lmages)
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