消費者金融(通称:街金)の利用者には、他人の不動産を利用してお金を借りる人たちがいる。東京・池袋で街金を営むテツクル氏が「担保提供の魔術師」と呼ぶ男の正体とは——。

※本稿は、テツクル『ぼく、街金やってます』(ベストセラーズ)の一部を再編集したものです。

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無償で「自分の不動産」を提供する人がいる

ぼくはお金を貸すとき、原則として不動産を担保に入れてもらいます。

担保があれば、お金を返せなくなっても不動産を売らせれば回収できます。不動産を担保にするときの抵当権には順位がありますが、あまり気にしません。大丈夫です、回収します。そこが街金の力の見せどころですから。

自分がお金を借りるんだから、普通は担保に差し出すのは自分名義の不動産です。でも、中には他人の不動産を担保にする人もいます。自分では不動産を持っていなかったり、あるいは持っていても担保にするのがイヤな場合に、他人の不動産を自分の借金の担保にするんです。

他人の土地です。他人の家です。

ぼくらは貸したお金に利息をつけて返してくれればそれでいいので、喜んで貸します。でも、ほとんどの場合、ちゃんとお金を返してもらえないので、担保の不動産を売らせたり、取り上げることになります。

無償で自分の不動産を提供してくれる、そんないい人が世の中にはたくさんいます。
そして、そういういい人を利用して、お金を借りまくる人も世の中にはたくさんいます。

Aさんを連れてお金を借りに来たBさんも、そういう人でした。