「結果」よりも「内面」をほめる
実は、このほめ方では、それほどモチベーションは上がりません。行動に変化をもたらすぐらいに、モチベーションを高めるのは、「能力」や「内面」をほめた時なのです。
ほめる対象で子供のモチベーションはどう変わるのか、そんなほめどころの違いが与える効果を研究した調査結果があります(Grusec, Kuczynski, Simutis, & Rushton, 1978)。
ゲーム中、おはじきを他人に分け与えた子供に対して、以下の2通りのほめ方をした時、どちらの子供がたくさんのおはじきを分けたでしょうか。
A:「ほかの人に分けてあげたのは、ホント素晴らしい」とほめられた子供。
これを「外的帰属」といい、出来事や結果をほめる方法。
B:「分けてあげたんだね。その思いやりが、ホント素晴らしい」とほめられた子供。
これを「自己帰属」といい、その人の能力や考え方をほめる方法。
結果は、B。「自己帰属」でほめられた子供のほうが分けたおはじきの数が多く、また2週間後もほめられたことの影響は維持されていたというのです。
ほめるスキルはできる上司の必修科目
これは、「ポジティブポライトネス」というものを知ると、整理がつきます。
ポジティブポライトネスとは、他人から認められたい、好意を持たれたいという欲求。想像してみてください。仕事の現場は当然成果を求められますので、部下がポジティブポライトネスを満たせる機会は少ないと思いませんか。
だからなのです。結果を厳しく求められる職場だからこそ、部下の内面をほめると効果てきめん。
冒頭のケースを使って、「自己帰属」でほめてみるとこんな感じになります。
・手伝ってくれて、ありがとうね。いつも、優しいね。助かるよ。
・彼がお願いしたことをやってくれたんだね。思いやりが嬉しいよ。ありがとう。
・目標達成、おめでとう。本当に頼りになるよ。ありがとう。
どうでしょう。上司から、こんなほめ方をされたら、「もっと、頑張ってみようかな」と思いませんか?
ほめるスキルは、できる上司の必修科目。なかでも、「結果」や「努力」だけでなく、「能力」や「内面」をほめることはぜひ覚えておきたいポイント。そうすれば、「この上司は認めてくれている。もっと頑張りたいな」と思ってもらえることでしょう。