器の大きさは何で決まるのか。器が小さい人と思われないためには何に気をつけたらよいか。心理学の専門家3人に「器」について話を伺った。
見た目と器▼人の中身を見ているつもりが、中身は外見から推測する

心理学者が語る器の大きさとは

「あの人は器が大きい」

※写真はイメージです(写真=iStock.com/mihailomilovanovic)

「彼は社長の器じゃない」

と言うように、“器”という言葉は日常的によく使う。しかし考えてみると、“器”とは抽象的でよくわからない言葉だ。そもそも器とは何なのか。「あの人は器が大きい」と周囲から思われるためには、何をどうすればいいのだろうか。心理学の専門家に聞いてみた。

立正大学心理学部名誉教授の齊藤勇氏は、「器が大きいというのは、主に自分より上の立場にある男性に対して使われるほめ言葉です。女性に対して器が大きいとはあまり言わないでしょう」と説明する。

たとえば織田信長などの戦国武将や田中角栄など一時代前の政治家など、人間的に魅力のある人を称して「器が大きい」と言うことがほとんどだ。

一方、「“器が大きい”というのは、危機的状況においても自己防衛的ではない、ということかもしれません」と言うのは、心理学者の榎本博明氏である。

「何かトラブルがあったとき、すぐに言い訳をしたり、責任逃れをしようとする人を“器が大きい”とは言いませんよね。一方で“器が小さい”人は、すぐに感情の堤防が決壊して洪水になってしまうようなイメージがあります」(榎本氏)

ストレス・マネジメント研究者の舟木彩乃氏は、「“器が大きい人”とは、一言で言って心に“余裕のある人”でしょう」と定義する。

「余裕のある人は、人生は“自分が主役の物語”であることを理解していて、ストーリーの軸をしっかり持っています。それゆえ、人生に浮き沈みがあっても大きく動揺することなく、それを受け入れることができるのです」(舟木氏)

印象操作はすぐバレる

器の大きさを外見から見抜くことは可能なのだろうか。

「自信たっぷりに見せたり、虚勢をはったりしても、やはり目線を合わせてこないなどのわざとらしさが感じられるものです。このような印象操作を試みると、かえって器の小ささが露呈する」(榎本氏)

また舟木氏、齊藤氏は「全身にブランド物を身につけていると、器が小さいと思われる」と口を揃える。

「ブランド品で身を固めている人は承認欲求が強く、等身大の自分を認められない傾向があります」(舟木氏)

「一目でわかるブランド物を複数持っていると、『そんなものに関心があるのか』『そんなことに時間を費やしているのか』と思われて、かえってマイナスにはたらきます」(齊藤氏)

調査方法●パイルアップで実施。全国の20~60代の計1000人(男女500人ずつ)から回答を得た。調査日は2019年5月14~19日。