話し方と器▼聞き役に徹しようと思っても現実は自分が話しがち

器を小さくするマウンティング上司

「あの人は器が大きい」という印象を与える話し方は、どんな話し方なのだろうか。

「器が大きい人は、余計なことをしゃべらず、無口なイメージがあります」と言うのは齊藤氏。

「アンケート結果にもあるように、ゆったりと低い声で話すのが最も信頼できる感じを与えます。よくしゃべる人は、器が小さい感じがします」(齊藤氏)

榎本氏も同様に「器を大きく見せるには、しゃべりすぎないほうがいい」と言う。

「人間はあまりにも饒舌な人には警戒心を抱きます。一方的に早口でまくし立てられると、『この人は自分を騙そうとしているのではないか』という気がしてなかなか信用できるとは感じづらいものです」(榎本氏)

逆に、相手の話に耳を傾ける「聞く耳を持つ人」は、いかにも器が大きいイメージだ。

「会話中に自分ばかり話しすぎているな、と気づいたら、相手にも質問してもらったり、『気になることがあったら言ってください』と発言を促したりすることを心がけるといいでしょう」(榎本氏)

人間は自分が話すことでカタルシス(快感)を得る。相手の話を一方的に聞くだけでは疲れてしまうのだ。

企業でのカウンセリングも行う舟木氏は「上司と部下の発言時間の比率をストップウオッチで計測してみると、上司のほうが思いのほか長く話していることがわかります」と指摘する。

部下が「自分の話を上司がちゃんと聞いてくれた」と実感するには、最低でも上司4:部下6くらいの比率にする必要があるという。

上司と部下という関係以外でも、器の小ささを感じさせる話の内容は、なんといっても自慢話だと舟木氏は断言する。

「自慢話が多いタイプはたいてい心の底にコンプレックスを抱いていて、それを隠すためのマウンティング(自分のほうが優位だと主張する行為)として自慢をしてしまうことが多い。これに気づいていないのは本人だけで、周囲の人たちには見抜かれているものです」(舟木氏)