女性社員の昇進意欲が低いことを嘆く人事部や経営者は多いですが、最初から低いわけではありません。学生時代は男性と同等にリーダー経験を積み、上昇意欲をキープしているのです。では何をきっかけに、昇進したくない女性は増えるのでしょうか。立教大学教授の中原淳先生が、調査データを基に解説します――。
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管理職志向の差は職場でつくられる

「女性は初めから昇進意欲がないんじゃないの」――多くの企業で女性管理職を増やすための頑張りが見られる中にも、そんないわれない声を聞きます。「いわれない」といったのは、まさに根拠がないからです。それが『なぜ女性管理職は少ないのか』(大沢真知子編著)を読むとよく分かります。

著者の一人である広島大学大学院教授の坂田桐子さんは調査によって、小学校、中学校、高校・大学のリーダー経験は男女で有意差がないことを明らかにしています(図表1)。学生時代は女性も学級委員やクラス委員、各種委員会の委員長、部活動の部長などになろうとする意欲が高いのです。ところが社会に出た途端、男女の管理職の比率がひっくり返ってしまいます。それは生得的な問題ではありませんし、リーダー経験が不足しているという意見も当たりません。

各段階における平均リーダー経験数の男女比較