海外からみれば「日本は連れ去りを容認している国」

子育て中心の人生を送っていた男性が去年12月、妻から5歳と3歳の子どもを連れ去られた。男性は子どもを連れ去られる理由はないとして、共同監護などを求める審判を申したてたものの、現在も子どもとの生活は戻っていない。今年6月には妻から単独親権を求める離婚裁判を起こされ、現在係争中だ。

この男性のように、妻や元妻から子どもを連れ去られて、事実上の生き別れになってしまう父親は、日本では珍しくない。逆に、夫から子どもを連れ去られる母親もいる。その背景には、日本が「単独親権」を原則としている点がある。裁判所は「単独親権」を前提にしながら、多くは連れ去った親に有利な運用をしているのだ。

しかし、「単独親権」を採用している国は先進国にはない。子どものために「共同親権」を認めるのが一般的で、日本は連れ去りを容認している国として国際的に非難されている。国連子どもの権利委員会は今年2月、「共同親権を認めるために、離婚後の親子関係に関する法律を改正する」ことなどを日本政府に勧告した。

それでも法整備に向けた議論は、国内ではまだまだだ。「単独親権」の制度の下で、理不尽な苦しみを受けている男性に話を聞いた。

妻から5歳と3歳の子どもを連れ去られたと訴えるAさん
撮影=田中圭太郎
妻から5歳と3歳の子どもを連れ去られたと訴えるAさん。