「単独親権」は虐待受けた子どもを守る制度ではない

日本で離婚後の「共同親権」の法整備が進まないのは、根強い反対があるからでもある。その代表的な理由として挙げられるのが、「共同親権」だと引き続き夫と連絡を取らなければならず、夫から妻への暴力や、夫から子どもへの虐待があった場合に、妻や子どもを守ることができないというものだ。

しかしAさんの場合は、子どもの面前で妻がAさんに暴力を振るったことで、妻による子どもへの虐待が病院によって指摘されている。「単独親権」だからといって、虐待を受けた子どもを守ることにはならないケースもあるのだ。

「虐待から子どもを守るのは、親権とは別の機能です。共同親権であれば、私の妻も子どもを連れ去る必要はなかったでしょう。子どもを連れ去られることを望んでいる人などいません。むしろ単独親権制度によって、苦しむ人が生まれているのです」

子どもたちと以前のように暮らせる可能性は限りなく低い

Aさんは昨年末に共同監護などを求めて審判を申し立てたあと、妻が申し立てた離婚調停が不調に終わり、現在は離婚裁判で争っている。しかしAさんは、過去の経験からも、現状からも、裁判に勝訴して子どもたちと以前のように暮らせる可能性は限りなく低いと感じている。

「私にとって子どもたちと一緒に暮らすことは、人生のすべてです。子育て以上に人生で大切なことはないと思って生きてきましたから、子どもたちとの日常生活が失われた状況は、自分の体が引き裂かれたような苦しみです。共同親権の実現について、もっと多くの方に考えていただきたいと思っています」

海外では、親と切り離された子どもたちの心理を研究した結果、共同親権が普及していったという。Aさんは自分のケースを多くの人に知ってもらうとともに、日本で共同親権の法整備が実現するよう訴えていきたいと話している。

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