3年間で売上高は約3倍になっていた

同時期、創業者の娘がステークスとナカジの代表に就任したが、対外的な面で実権を握っていたのは創業者である父だった。同氏は会長として、店舗の展開や管理、金融機関や各種納入業者への支払い等の交渉事に関わっていた。

一方、娘の方は代表就任後、店舗の屋号をsteak & cafe「KENNEDY」に統一し、水色にオレンジのロゴをトレードマークに出店を加速させる。

2006年12月期に約5億9300万円だった年売上高は、翌2007年12月期には一気に約10億8700万円まで伸びた。2009年4月には店舗数は28店まで拡大し、同年12月期は約14億4700万円の年売上高を計上した。

「ステーキ半額券」が逆効果だった

しかし、創業者の娘が代表就任した後の4年間、順調に店舗を拡大する一方で、そのスピードと合わせて品質の高いサービスの提供を続けることが難しくなる。経営管理や人材教育に課題が見え始め、一時出店をストップ。だが、ステーキ半額セールで集客を図り、2012年に出店を再開した。

以後、ディナーのステーキ全品が50%引きになるクーポン券を、各店舗の近隣住宅にポスティングしたり、子ども向けのプレートを無料にしたりするほか、飲料を割引するなど、キャンペーンを多用して集客を図った。その甲斐あってか2014年12月期に年売上高は約17億6700万円のピークを迎え、店舗数は40店に達した。

当初はネットなどでも割引キャンペーンが話題となったが、繰り返し定期的に行なわれることで新鮮さはなくなる。消費者の関心は次第に薄れ、「半額でなければ食べに行かない」という利用者が増えていった。