AIブームから数年。当初からAIの導入に積極的だった企業ほど、現在の社内が混乱しているというパラドクスが起きている。この状況を突破するにはどうするか。BCGのコンサルタントの2人は「社内に散在するユースケース(活用事例)から、いかに戦略的に重要なものを選定するかがカギ」と指摘する――。
インターナルユニコーンを見つける
AIブームから数年が経過した今、これまで積極的にAI活用に取り組んできた企業ほど、社内が収拾のつかない状況に陥っているように見える。
先端的だが拡大展開できる見込みのない案件、せっかく構築したAIが全く使われずに止まっている案件、他部門がすでに取り組んでいることと極めて類似性が高い案件、ひたすらデータを集め続けているだけの案件など、十分な成果を生むに至っていないユースケース(活用事例)が少なくない。
このような失敗体験は、社内のAIへの取り組み意欲を減速させてしまいかねない。だが、失敗体験によりAI活用をやめてしまった企業と、継続して経験を蓄積していく企業との間には、数年後には大きな差が生まれているだろう。
こうした状況を打破するには、私たちが「インターナルユニコーン」と呼ぶ、戦略的に重要でインパクトの大きいユースケースを選定することがカギとなる。AI活用を成果に結びつけている企業の多くは、ユースケースを絞り込むことで、限りあるリソースを集中投下させているのだ。
自社にとって重要なデジタル領域を見極める際に、私たちはデジタル・アクセレレーション・インデックス(Digital Acceleration Index=DAI)というBCG独自の測定指標を用いているが、この枠組みはインターナルユニコーンの発掘にも活用可能だ(図表1)。