失敗がなければチャレンジが足りないと心得えよ

最後にAIの構築に際して、重要なことを1つ述べておきたい。

AI構築のプロセスは、まず、学習用のデータを作成し、それを使ってアルゴリズムを構築し、精度評価、つまり検証データによる答え合わせを行うという流れになっている。ただし、答え合わせは決して一度では終わらない。さまざまなデータセット・機械学習手法を試しながらテストを繰り返し、結果、最も精度評価の高い組み合わせを見つけるという、かなり実験的なプロセスとなる。

それゆえに、経験のあるデータサイエンティストであっても、新しいテーマで、新しいデータを使い、どれくらい精度の高いAIアルゴリズムを構築できるかを事前に予測するのは極めて困難だ。やってみないとわからないというのもまた、AIの本質である。

複雑で難しい課題だからこそAIというツールが求められているのであり、システム投資ではなく、R&D投資と捉えて、これまで放置していた大きな課題に挑戦するところに、AI活用の意味があるのである。

一発でうまくいかなくて当たり前、むしろ失敗がなければチャレンジが足りないと考えても良いだろう。

高部 陽平(たかべ・ようへい)
ボストン コンサルティング グループ(BCG)パートナー&マネージング・ディレクター
BCGジャパン デジタル&アナリティクスリーダー、BCG保険グループのアジア・パシフィック地区リーダー。同金融グループのコアメンバー。デジタル・IT分野に豊富な経験を有し、保険、金融を含むさまざまな業界の企業に対しテクノロジーを活用した競争優位構築を主軸とするプロジェクトを手掛けている。【デジタルBCG紹介ページはこちら
浜田 貴之(はまだ・たかゆき)
DigitalBCG Japan プリンシパル
AI・機械学習等を担当するDeepTechチームのコアメンバー。機械学習を中心に、マーケティング・オペレーション最適化・新商品開発等、アナリティクスのビジネスへの適用プロジェクトを数多く手掛けてきた。
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(構成=曲沼美恵)